フリクションボールの特徴と原理

フリクションボールは、パイロットインキ株式会社が開発した温度変化で筆跡を消すことができるボールペンです。2006年に発売されて以来世界中で人気を博しており、日本では2019年に年間販売本数が1億本を突破しました。フリクションボールのインクには、温度変化で色が変わる「メタモカラー」が使用されています。フリクションボールで書いた文字は、常温(20℃前後)では黒色ですが、消しゴムでこすると60℃以上の熱を発しインクが無色になります。

消した箇所を再びこするとインクが元の色に戻ります。消しゴムでこすっても消しカスが出ませんので、消しゴムカスで手が汚れたりノートに汚れが付いたりすることがありません。消した箇所でも繰り返し筆記することができますので、誤字脱字や間違えた書き込みを簡単に修正することができます。インクは、色素と熱変換剤の2つの成分で構成されています。

色素は常温では黒色に見えますが、60℃以上の熱を受けると無色になります。熱変換剤は色素の色を変化させる働きがあります。書いた文字は、色素と熱変換剤が混ざり合って黒色に見えます。消しゴムでこすると、消しゴムの摩擦熱によって色素が無色になり文字が消える仕組みです。

便利な機能から学生やビジネスパーソンなど幅広い層に愛用され、ノートや手帳やメモ帳などの文房具だけでなく衣服やカーペットなどの汚れを落とす消しゴムとしても販売されています。フリクションボールは、温度変化で筆跡を消すという画期的な技術によって、文房具の常識を覆した商品です。今後も、その人気はますます高まっていくでしょう。